摂食障害で揺れ動く人間関係、みんなはどうしてる?~経験者が語る、人との関係の変化と向き合い方~
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摂食障害で揺れ動く人間関係、みんなはどうしてる?~経験者が語る、人との関係の変化と向き合い方~

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摂食障害と向き合いながら、「人とのつながりが怖い」「食事の場が苦しい」と感じたことはありませんか?症状に必死に対処する中で、大切な人間関係がいつの間にか遠くなってしまった、そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

オンラインイベント「摂食障害で揺れ動く人間関係、みんなはどうしてる?~経験者が語る、人との関係の変化と向き合い方~」では、回復の道を歩んできた3人の登壇者が、それぞれの経験を率直に語りました。「自分だけじゃない」という安心感を、ぜひ感じていただけたら幸いです。
この記事に紹介されている人のプロフィール
なつきさん、のんさん、keiさん

なつきさん
14歳から現在に至るまで、拒食・非嘔吐過食・過食嘔吐を経験。また、症状を抱えながらの部活・就職活動・一人暮らし・恋愛などを経験。

のんさん
高校1年から40代後半に至るまで、拒食・過食・下剤乱用・過食嘔吐を経験。また、症状を抱えながらの転職活動・出産・育児などを経験。

keiさん
大学3年生からの5~6年の間に、拒食とまではいかない食事制限・過食嘔吐・非嘔吐過食を経験。また、症状を抱えながらの就職活動・仕事・恋愛などを経験。

食のルールと人間関係のもどかしさ

なつきさん:ルールが「パーソナルスペース」になっていた

高校時代、私はそもそも摂食障害だとは周囲に伝えていませんでした。でも、拒食の症状があった頃、自分の中に「何時に何を食べないと許せない」「この食べ物は食べてはいけない」という強固なルールがありました。

ルールを破られることが怖かったので、人と関わるよりも、ルールを守ることが常に一番でした。 言ってみれば「パーソナルスペース」をとても広く取って、「そこに入ってこないでほしい」という状態だったと思います。

お弁当を誰と食べるか、部活の後にみんなで行くお店に行けない……本当はもっと仲良くしたいのに、食事のことがあるからうまくいかない。そのもどかしさ、悔しさ、悲しさがずっとありました。「このルールさえなければ」と何度も思いながらも、ルールなしでは自分を保てなかった。そんな時期でした。

のんさん:罪悪感が、人から遠ざかる理由になっていた

なつきさんのお話と同じように、私にも厳しい食のルールがありました。ルールを守らないと「自分が壊れてしまう」という恐怖感があって、そのルールが人間関係より優先されていました。

それに加えて、年を重ねるにつれて「いつまでこんなことをしている自分なんだろう」という罪悪感が大きくなっていきました。 食べていることや症状を見られるのが怖くて、家族との食事でも反発してしまうことがありました。職場の忘年会に参加できなかったこともあります。

「こんな自分が友達とご飯を食べに行っていいのか」「人間として外に出ていいのか」——そういう気持ちから、だんだん人から遠ざかっていったなと思います。変えてくれたのも最終的には人との関わりだったのですが、自分に対する肯定感がなかった頃は、それが難しかったです。

keiさん:ルールで頭がいっぱいで、周りを気にする余裕がなかった

私の場合、就職直後が症状のピークで、初めての職場・初めての仕事、その上で頭の中は食のことでいっぱいという状態でした。

昼食のときは、先輩たちに「アレルギー体質で、体質に合わないものがあって」と伝えて、自分が食べられるものだけを食べていました。周りがどう思うかより、自分のルールが守られれば、どちらかというとそれでいいという感覚が強かったと思います。食べること以外の場面ではなるべくうまくやろうと自分なりに心がけていたので、そこまで人間関係が大きく崩れるということはなかったです

周りの人は、どう接してくれた?

keiさん:「食べること以外は別にいいじゃん」と受け入れてもらえた感覚

――仕事と摂食障害の症状を両立されていたkeiさんは、「職場の方」の自分に対する接し方についてどう感じていましたか?

職場の先輩たちの受け取り方は、「食べるときはいろいろ言ってるけど、まあそれ以外は普通だよね」という感じだったと思います。食以外のところで普通に関わってくれていたので、大きくぶつかることはなかった記憶があります。

当時は病識も全くなくて、自分だけが異常なことをしているんじゃないかと思っていたので、相手がどう感じているかを気にする余裕もあまりなかったです。ただ、自分のスタイルを「触れないでほしい」というかたちで伝えて、それに合わせてもらえる環境が自然にできていたのは、今振り返ると救われていたなと思います

のんさん:母が付きっきりで支えてくれた一方、視野が狭すぎた

――家庭生活と摂食障害の症状を両立されていたのんさんは、「家族」の自分に対する接し方についてどう感じていましたか?

症状が重かった高校時代、私は本当に自分のことで精一杯で、家族のことを見る余裕がまったくありませんでした。母が病院にずっと一緒に通ってくれて、学校に行けない日も外に連れ出してくれていたのですが、当時の私にはその大変さを受け取る余地すらなかったと思います。

結婚してからの家族には、今もなかなかオープンにできていません。自分がルールと格闘しているところを見られたくなくて、拒絶してしまう傾向がありました。 家族が望んで変わったというより、私が家族を変えてしまった部分があると感じています

なつきさん:カミングアウトした相手には、意外なほど受け入れてもらえた

――学校生活と摂食障害の症状を両立されていたなつきさんは、「学校の方」の自分に対する接し方についてどう感じていましたか?

学生時代はほとんど誰にも打ち明けていませんでした。大学を卒業してから、信頼できる友人に「実は摂食障害だったんだよね、だからこういうことがあった」と伝えたとき、相手は「そうなんだ」と受け入れてくれました。

大切にしていた彼との関係では、私の食のルールを結構強く押し通してしまっていた部分があって。別れてから数年後に話す機会があって、「本当はもっとこういうものを一緒に食べたかった」と言われたとき、相手が我慢していたんだと初めて気がつきました。伝え方や関係性によって、相手への影響も変わってくるんだなと、改めて感じています。

今振り返って気づいたこと

なつきさん:「どう接してほしいか」まで伝えると、お互いが楽になる

食と人間関係ってとても密接で、給食・お弁当・ランチ・お茶と、どこに行っても食事が人との関わりに絡んできます。カミングアウトしなかったのは、気を使われるのが嫌だったからというのが大きかったです。

でも社会人になってからの経験で気づいたのは、「摂食障害がある」と伝えるだけでなく、「こういう風に接してほしい」というところまで伝えると、相手も困らないし自分も安心できるということです。たとえば「食べられたり食べられなかったりするけど、あんまり気を使われると私もかえって気を使っちゃうから、その時の流れでいてくれたら嬉しい」という感じで。思っていた以上に、ちゃんと受け取ってもらえることがあると知りました。

のんさん:「助けて」が言えなかったのは、逃げ道を守りたかったから

今日話していて思い出したのは、助けてほしいのに「助けて」が言えなかったこと。食べて吐くことが、自分の唯一の逃げ道でもあったので、助けを求めたらそれを奪われてしまうんじゃないかという怖さがありました。

最近、症状を知っている人に食べすぎてしまったことを話したら、「胃もたれ大丈夫?」と返ってきて、ああそんな言葉で返してくれるんだと思いました。何年も黙っていた時間が、もったいなかったなと。でも、その時の自分は精一杯だったんだとも思います。

keiさん:最初のリアクションを乗り越えて伝えると、周りはだんだん慣れてくれる

今振り返ると、「お昼はお菓子しか食べない」と最初は「えっ」となる人でも、何日か経てば「あの人はそういうスタイル」として自然に受け入れてもらえることが多いんですよね。

自分のルールを守ることが、今どうしても必要なのであれば、最初の反応をちょっと飲み込んで、まず伝えてしまう方が、結果的に楽になることもあると思います。「言ったら関係が崩れてしまうかも」という心配より、意外と周りはそこに慣れていってくれるものだなというのが、私の実感です

これから一歩を考えている方へのメッセージ

なつきさんより

人間関係の中で食事は切り離せないものだからこそ、どこにいても難しさを感じることがあると思います。でも、自分がどういう状態で、どんなふうに接してほしいかを伝えることで、思っていたより関係は壊れないし、むしろ安心できることがあるかなと思います

のんさんより

一人で抱えていた時間が長かったぶん、話してみたら意外な言葉が返ってくることがありました。「助けて」と言うのはとても怖いことだけれど、周りの人は思っているよりも温かく受け取ってくれることがあります。今は精一杯の自分でいい。でも、もし少しだけ話せそうな相手がいたら、その一言を大切にしてほしいです。

keiさんより

自分のルールを守ることが必死な時期は、周りのことまで気が回らなくて当然だと思います。でも、いつかそのルールを誰かに伝えられるようになったとき、周りは案外ちゃんと受け入れてくれます。今自分が抱えているものを、全部一度に話す必要はない。一番楽な方法を、自分のペースで探していけますように。