「摂食障害」は1つの病名?










実は「摂食障害」というのは複数の疾患を総称した呼び方なんだ。
代表的な疾患として、下記の3つが挙げられるよ!
・神経性やせ症
・神経性過食症
・むちゃ食い症
この3つを症状別に大別すると…こんな感じ!

色々な分類があるんだね!
摂食障害って、ただ食べられなくてガリガリに痩せちゃうものだと思ってた…
拒食症って言葉は聞いたことがあるんだけど、それは違う病気なの?
同じ病気のことだよ!
昔は神経性やせ症のことを拒食症や神経性無食欲症と呼んでいたんだけど、
この病名だと当事者が好んで食事を拒んでいるんだとか、
食欲がないことが原因だというふうに誤解されやすいと言われていたんだ。
そこで今では、精神的なことが原因となって極端に痩せてしまう病気という意味で、神経性やせ症と呼んでいるよ。
そっかぁ、たしかに私も、食欲がなくなる病気って言われたら、ちょっと違うなって感じちゃうかも…
神経性やせ症ってなに?
そうだよね。それに、一口に摂食障害、拒食症、と言っても「食べられない」という症状のあらわれ方以外にも、たくさん運動する、食べてから吐いてしまう、下剤を飲んでしまう、食べ過ぎてしまう…などなど、摂食症(摂食障害)の症状のあらわれ方には、色々なパターンがあるんだ。
覚えておいてほしいのは「見た目ではわからない」ということ。
ぱせりちゃんはさっき「食べられなくてガリガリに痩せてしまう病気」と言っていたけど、必ずしも痩せているとは限らないよ。
例えば「過食してから吐いてしまう」といった症状のあらわれ方が同じでも、
低体重かどうか?によって、診断名も変わってくるんだ。
低体重の場合は神経性やせ症、正常体重以上であれば神経性過食症、と呼ばれるよ。
うーん、でも低体重ってどのくらい?
私はガリガリに痩せてるわけじゃないし、低体重ではない気がするけど…
医学的には「BMI18.5未満」を低体重とすることが多いよ。
BMIは下記のように計算されるんだけど、身体の病気に最もかかりにくいとされているのがBMI 22。これを適正体重と呼んでいるんだ。
BMI = 身身体重kg ÷ (身長m)2
適性体重=BMI 22**日本人の体型を鑑み、BMIのみを診断基準としない場合もあります。また、成長段階にある若年者では、BMIではなく標準体重比を参照することもあります。
ええー!私も測ったことあるけど、BMI 18.5未満って、私も含めて結構いるような…じゃあ、みんな神経性やせ症ってことなの?💦
いやいや、痩せているからって神経性やせ症とは限らないよ!
体重や症状の有無は、あくまで1つの診断基準。
他にも、その人のボディイメージ(自分の体型についての認識)はゆがんでいないか?太ることに強い恐怖感があるか?というのも診断の基準になるよ。
つまり、ただ痩せているだけではなくて、自分を「太っている」と強く思い込んでしまったり、体重が増加することに対して非常に強い恐怖を感じていること。
結果として、極端な食事制限や過剰な運動を続けてしまう…
これが神経性やせ症の特徴と言えるかな。
確かに私も、周りに痩せてるって言われるけど、自分が痩せてるって思えないな…
二の腕とか、まだまだ脂肪がついてるって思っちゃうし…
そしてもう一つ!
極端な食事制限や運動など、いわゆる「ダイエット」をやり過ぎてしまうことの他にも、嘔吐や下剤の乱用等の代償行為*を伴うパターンがある。
これも、神経性やせ症・神経性過食症どちらにも見られる症状だよ。過食した後に自分で吐いてしまったり、下剤を乱用したりして、摂取したカロリーを帳消しにしようとしてしまうんだよね。
私も最近はバーっと食べてから吐いちゃうってことがあって…
我慢できなくて食べたのは自分なのに、って思うと情けないの。
世の中には食べたくても食べられない人だっているのに…
これを病気だっていうのは、なんか言い訳にしてるみたいで、ちょっと気が引けちゃうなって思う。
ぱせりちゃんちゃんは、そんな風に思ってしまうことがあるんだね。
摂食障害のことは、まだまだ知らない人が多いんだ。
人ごとに病気になるきっかけや、なった後の症状は色々ある。
だからこそ、自分や身近な人が摂食障害という病気であることに気付けないこともあるんだよ。
確かに、おかしいとは思ってたけど…病気だとは思ってなかったな。
そうそう。
病気について知らないからこそ「食べて吐くなんてひどい!」とか、
周囲の人が本人を傷つけるような言葉がけをしてしまったりもする。
当事者本人も、ふとした誰かの一言に傷ついたりすることもあるかもしれないよね。
けれど、食事を極端に制限した後に過食してしまうこと、過食の衝動をコントロールできないこと、過食した後の強い恐怖から代償行為*をしてしまうこと…
そういう行動は、当事者本人が望んでやっていることではなく、摂食障害という病気が原因の行動なんだ。
これを、当事者本人も周りの人も、一緒に理解していけると良いよね。
そうなのかなぁ…正直、今のところ全部当てはまる気はするんだけど…
やっぱりこれって本当に病気なのかな?って思っちゃう。
同年代の子は、皆同じようにダイエットして、たまに食べ過ぎちゃって…って感じじゃないのかな。
うんうん。今や男性の3人に1人、女性の2人に1人がダイエットの経験がある時代。これって本当に病気なの?と思ってしまうよね。
もちろん、今まで話してきたような病気としての診断基準もあるけれど…
自分の日常生活や頭の中を、食事や体重・体型に対する考えがどれくらい支配しちゃってるのか?を考えてみるのも良いかも。
太るのが怖くて人とご飯を食べられない、エネルギー不足で学校や職場で力を発揮できない、食べない拒食と沢山食べる過食やその後の嘔吐を繰り返していて生活リズムが崩れてる…
なんてことがあったら、既に日常生活に支障が出ていると言えるはず。そんな時は、たとえ病院に行って診断を受けていなくても黄色信号だよ!
おわりに
食事をすることは自然で当たり前のことですが、体重や体型の悩みやストレスが原因となって食事が適切にできなくなるのが神経性やせ症・神経性過食症です。食事は生きるために不可欠なことですから、食べることに強い抵抗感がでてきたり食べる量がうまく調節できなかったりするのはとても辛いことですね。何より食べることが楽しめないのはとても残念なことだと思います。摂食症についてよく知り、本来の食生活を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。
*代償行為…過食しても体重が増えないようにすることを目的とした行為。自己誘発性嘔吐や下剤の乱用等の形を取ることが多く、「浄化する」という意味の「パージング」と言われることもあります。