体型についての質問に体型の答えを返すのではなく、「体型のことが以前よりもすごく気になってしまうだね」と病気の心で過剰に気にし過ぎているという病前からの変化を指摘して、「聞けば聞くほど(言葉にするほど)、体型のことがさらに気になってしまうんだって」と伝えて、娘さんがこのような言動から離れられるようにしてあげると良いです。治療上でも、過剰なこだわりから、考えも行動も離れることが重要です。
神経性やせ症に認めるボディーイメージ障害では、自分がやせていても太っているように感じます。家族に体型について尋ねるのは、「太っていない」ことを保証してもらい肥満恐怖を和らげたいためですが、実際には不安を減らす効果はあまりありません。むしろ家族に保証を頻回に求めるようになり、ますます家族の言葉が意味を持たなくなります。このような問題は強迫傾向が強い方に多くみられますが、著しいやせが強迫を強めることにも注意が必要です。体重について質問された場合は、体重の評価を尋ねられていると思うのではなく、不安を訴えていると考えるようにしましょう。また、「元気に見える」や「血色が良くなった」などと一般的には良い意味の発現でも、患者は体重増加を連想しがちです。そのため、「体重が気になって辛いね」などと、本人の心配を共感することに力点を置いて返答するのが良いと思います。