摂食障害当事者同士であっても違う、食べることや体型について考えることが「こわい」気持ち――友人の摂食障害経験を経て
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摂食障害当事者同士であっても違う、食べることや体型について考えることが「こわい」気持ち――友人の摂食障害経験を経て

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「心配だけど、どう声をかけたら良いか分からない」「逆に傷つけてしまったらどうしよう…」親しい仲だからこそ、どう接したら良いか分からなくて不安になる、友人やパートナー、職場の方の摂食障害。
今回は、そんな「周辺で見守る立場の方」へのインタビューを通して見えてきた、摂食障害の方へのサポートの形を記事にしました。
この記事に紹介されている人のプロフィール
らくさん、なつきさん

らくさん
なつきさんの友人。自分自身も摂食障害の経験があり、9年前の入院中に知り合って仲良くなった。

なつきさん
14歳から拒食、18歳頃から過食、24歳頃から主に過食嘔吐。現在も症状を抱えつつフルタイムで就業中。

お互いに摂食障害当事者だと知って分かった、行動の背景

最初に出会った頃、なつきさんが摂食障害だとは知りませんでした。食べ物に執着があるんだなと思っていました。食べたいのに食べない、でももったいないから食べる、みたいな感じがあって。不思議でした。

後から摂食障害だと知ったことで、それまで理解できなかった行動に「納得」が生まれ、関わりやすくなりました。

病名を知ることが、相手を「ラベル付け」することではなく、「分からなさ」を減らしてくれることもあると思っています

自分自身が摂食障害を経験していたということもあり、「太った?」という「暴言」になるような言葉だけでなく、「気にせず食べなよ」などの言葉も、言わないように気を付けていました。

「気にせず食べなよ〜。おいしいよ!カロリーとか気になっちゃうよね〜。でもこれ半分にしたら何kcalだよ」というように、相手の不安を否定せず、理由を添えてポジティブに捉えられるような言葉を、自然と選んでいました

摂食障害当事者同士だからといって、「こわい」気持ちが同じとも限らない

同じ摂食障害経験者だとはいえ、なつきさんの抱える食べること・体型について考えることが「こわい」気持ちは、私自身とは違っていたと感じています。

特になつきさんは、「食べることがこわい」とはあまり口にしませんでした。

それでも、お店選びに時間がかかること、メニューを決めるスピードが遅いこと、深刻そうに悩みながら選んでいること、そんな様子から、「きっとすごく怖いんだろうな」と感じ取っていました。

それから、ある時温泉に行きたいと誘ったことがありましたが、体型を理由に断られたことが印象深く残っています。

お風呂が嫌いなわけじゃないのに、何が嫌なんだろう?そう思っていましたが、これも、同じ摂食障害だからといって何がこわいと感じるかは異なるという側面を表しているのかな、と今では思っています。

だからこそ、「理解しきれなくても、そばにいる」ことを大切にしていました

ある時、一緒に食べ放題に行きましたが、吐く前提で食べていると分かっていても、美味しいねって共有することに意味があったと思っています。

その時間が、今の信頼関係につながっているとも感じています。

完璧に理解できなくても、正しい対応が分からなくても、一緒に過ごした時間そのものが、関係を支えていたのかな、と思います。

友人として、「一緒にいるとき、少しでも安心して口に入れられる相手でいたい」と思っています。

私と一緒にいるときくらい、少しでも安心して食べられたらいい。食べたあとにどうであろうと、一緒に食べる時間を楽しめたらいい。吐いてしまうかもしれないと分かっていても、「一緒に食べる時間」を大切にしたい。そんな風に考えながら接していました。

同じ立場の人へ伝えたいこと

特別なことをしなくても大丈夫。本人たちは、周りの些細な言葉で変化しているから、気にしすぎないで欲しい。

摂食障害に苦しむ本人を見守る立場の友人として、同じ立場の方には、そんなことを伝えたいと思います。

摂食障害は「食べる」という、日常に密接に関わる病気です。だからこそ、専門家よりも長く、近くにいられる存在がいます。

迷いながら関わっている方もいらっしゃるかもしれません。「どう接したらいいのか分からない」と思いながらも、そばにいようとしていること。それ自体が、きっと意味のある関わりなんだろうと思っています。

本人(なつきさん)からのコメント

入院中に出会い仲良くなった人との関係は長く続かないことも多い中で、彼女と今も関係が続いていることには意味があると感じています。

私たちは同じ摂食障害の経験があるけれど、「同じだから分かる」という感覚ではなく、似た苦しさを通ったかもしれないけれど感じ方や考え方はそれぞれ違う、という前提で関わっています。そのスタンスがあるからこそ、お互いの気持ちや考えを丁寧に言葉にし合うことができ、ぶつかることがあっても話し合って関係を立て直すことができています。

私が食べられない時も、限定的なもののみ食べられる時も、食べて吐いてしまう時も、安定して食べられる時も、彼女は一緒に過ごす時間そのものを楽しんでくれます。その姿勢に触れるたびに、「どんな状態の私でも関係の中にいていい」と感じられ、安心につながっています。そしてその安心が土台になることで、結果的に食べ方が安定しやすくなることもあり、症状の改善にも良い影響を与えてくれていると感じています。