完全に症状のことを気にせず、以前と同じように生活ができるようになる人も中にはいると思いますが、そこまでいかずに少し体重や体型のことが気になるが、何でも食べられる、おいしいと感じられるといった生活を送れる人はたくさんいます。
また、そういう人たちも時々症状の悪化を自覚することがあっても、周囲に上手に頼ったりしながら比較的早く元の良い状態に持っていくことができるようになります。
これが病気と付き合っていくという意味では、「良い付き合い方」とも言えるかもしれませんし、「回復した姿」とも言えるのではないかと思います。
完全に治ることは十分に可能です。同時に、完治がどのような状態を指すのかについては十人十色です。
捻挫で例えてみましょう。例えば右足首を捻挫してしまった場合、リハビリなどで普通の機能を取り戻せます。でも、きちんと補装されていない道を走ったりすると、昔捻挫した右足は、そうではない左足よりも、簡単に捻挫してしまいやすくなっているでしょう。
このように、環境によっては摂食障害の行動や思考がぶり返しやすくなることはあります。そういう意味では、置かれている環境によってはずっと付き合っていく必要がある人もいるでしょう。
確かに摂食障害は治りづらいことが知られている病気の1つです。
ですが何をもって「完全に治った」とするのかは人それぞれ異なります。
学校や仕事に休まずに行けるようになった、友達と外食に行って食事も楽しめるようになった、外来通院を卒業できた、など食事への少し怖い気持ちを持ちながらでも今までできなかったことができるようになることも「治った」と言えるのではないでしょうか。
もちろんその中には食事への怖い気持ちが0になった人もたくさんいます。決して不治の病ではありません。